荻窪(杉並)には戦前、戦後を通して多くの文化人が住んでいました。阿佐ヶ谷の文士村に影響された作家をはじめ絵画、能楽師や作曲家、作詞家などその存在は多岐にわたります。こうした、知識人の作った環境が天沼に住む人々の誇りでもあり郷土愛に通じるものです。
井伏鱒二(いぶせますじ)
◆1898年(明治31)2月15日広島県生まれ◆本名・満寿二◆1928年29歳で井荻村(現在の清水町)に家を建てる。以後、荻窪の住民となり’82年に自伝風『荻窪風土記』を発表。◆『荻窪風土記』は関東大震災から昭和30年頃までの荻窪界隈の風土とそこに住む人々の変遷を記録した自伝的エッセイ。◆’23年『幽閉』(のち山椒魚)を発表し文壇にデビュー。◆’38年『ジョン満次郎漂流記』で直木賞。戦前には『さざなみ軍記』、戦後は『本日休診』『駅前旅館』『黒い雨』などがある。◆’66年文化勲章受章。◆1993年7月10日没。追:自称“荻窪乾山”とも称して居たらしい。